2018年1月17日水曜日

「能の学校・壱」2回目

先日、市民カレッジ「能の学校・壱」の2回目の講座がありました。
1回目▼は去年の暮れに行われました。


今回は、前回に教えていただいた能の歴史のおさらいと、「江戸城における正月行事 謡初之式」を教えていただきました。

先生役の山中迓晶先生は、講義をするときの面白いキャラクターと、能を舞うときの厳しい表情とにギャップがあって、いったいどちらが本物なのだろうかと、思ってしまうほど、変身術が素晴らしい先生です。

今回は市の施設の学習室で行われました。

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私は能についてはまるで初心者なので、講義の内容をしっかりとお伝えすることは無理なので、講義の中でお聞きした「能のトリビア」ともいうべき、面白い話について、ちょっと書いてみようと思います。
みなさん、お分かりでしょうか?

◆能のトリビア その1:
「君が代のルーツは、能にあった!」

「君が代」の中の有名な歌詞は、実は能の「老松」の一部にありました。
「老松」はおめでたい曲ではありますが、もともとは天皇を崇拝する曲ではなかったそうです。
また、能にはいわゆる音階はないので、明治時代になって、その歌詞に音階を付けたのが、君が代なのでした。

◆能のトリビア その2:
「なぜ、謡の中では、松が誉めたたえられるのか?」

能は武士の間で愛好されました。歴代の武士たちの必須科目のようなものでした。特に徳川時代になってからは、能は大切な教養(?)となったようです。
江戸幕府が大事にしていた能です。
そうですね、将軍家である徳川家は元を辿れば松平家ですので、将軍家を敬うという意味で、「松」は重要視されたのでした。
かつて、世阿弥が自分では「これは駄作だ」と思っていたような「高砂」(これも松の神様が主役のお話)ですが、この「高砂」が江戸時代にもてはやされるようになったのは、「松」平家というのがその理由でした。

◆能のトリビア その3:
「大相撲の布団投げは、能から始まった?」

かつて江戸時代の能の新年初の式では、これぞと思われるうまい能楽師には、幕府や大名から心づけがあったそうです。
大名は、自分の着ていた裃を脱いで、それを舞台の階段のところで、能楽師に渡していたそうです。
それがどういうわけか、相撲の世界では裃が座布団になり、現代では「強い力士を倒した時に、格下の力士をほめたたえる」という意味で座布団が飛んでいますね。
褒めるというよりも、どちらかというと、「ようやった!」という意味のようですが、これも元をただせば、能の世界からのものだということでした。

こういう面白いお話が聞けました。

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ここまでは迓晶先生は、普通の和服姿でしたが、休憩の後には儀式のための裃・袴姿に着替えられました。

新年の式には、能の5流派のうち、3つの流派が参加したそうです。
ちなみに5流派というのは、観世流、宝生流、金春流、金剛流、喜多流です。

そして新年を祝い、お神酒を杯で飲む、という儀式を行って下さいました。
本来は、この行事は正月の2日目に行われるもので、この行事の前までは、歌舞音曲の類は禁止されていたのだそうです。

市民カレッジの教室に、お酒が置かれるというのは珍しいことではないでしょうか。
このお神酒は迓晶先生特製のもので、上等な日本酒、菊、肉桂、柚子、生姜などがミックスされていて、芳醇な香りと、甘味がありました。


上の写真の徳利の手前にあるのは、米と塩です。
米は口に入れて、塩は身を清めました。
下にあるのは火打石で、これでカチカチとします。

こんな感じで、受講生が列をなして先生からお神酒をいただきました。
後ろに見えるのは、黒板です。


その後、先生には、教室で、おめでたい能を舞っていただきました。
能には、特別におめでたい曲というのが8つあるそうで、「あしたは あおい しょうじょう」と言って覚えるそうです。

私たちが結婚式でよく耳にする「高砂」もそのおめでたい曲の一曲であり、相生の松によせて夫婦愛と長寿を愛でるお祝いの曲である、という説明もありました。

講座の後には、残ったお神酒をしっかりといただきました。


市民カレッジの担当者さんにも、お神酒が振る舞われました。
みんな、ほんのり赤い顔になって、幸せな気分になれました。

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私は能のことはよく分かりません。
ただし、亡くなった祖母の趣味は謡でした。
よくお稽古をしていたようで、その声は耳についています。
家の者は、「また、おばあちゃんのうたいが始まった」と半分は迷惑に思っていたかもしれません。
それでも、お正月とかおめでたいときには、ちゃんとした着物を着て、扇を帯に挿して、みんなの前で謡ってくれました。
「明治の女」でしたね。
今にして思えば、どんな意味の曲だったのか、ちゃんと聞いておけば良かったと思います。

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この日の装い。

意味もなく、赤い着物が着たくなって、赤い紬にしました。


ところが能の世界では「赤」というのは畜生を指すそうで、「猩々」もそうなのだそうです。
おめでたいということで、赤い着物で良かったのでしょうか?


ちょいと派手目な花模様の帯と、青海波の帯揚げでおめでたい雰囲気にしてみました。