2008年2月23日土曜日

東京見物


日本を離れて30年以上過ぎ、もはや「変な日本人」と化している来日中の妹と、80年以上前は銀座を闊歩していたのに、今ではまるで外を歩けなくなっている母を連れて、東京見物をしてきた。

朝からよく晴れて、おまけに4月並という暖かさ。厚い上着は脱ぎ捨てて、軽いジャケットで出かける。
たまには親孝行もしなくちゃね。

母を車椅子に乗せて、妹と3人でタクシーに乗り込み、浜離宮まで。

ところがこのタクシーの運転手さん、まるで道を知らなくて、ナビがあるのに、浜離宮までうまくたどり着けない。
東京の地理には30年以上も知らないはずの妹が、「そっちじゃない、こっちですよ」と言う始末。
というので高速道路代も含んだので、タクシーに12,000円も支払ってしまった。

まあ、それでも東京のいろんなビルを見ながら走ってきたので、それでもいいか。

ようやく浜離宮恩賜公園にたどり着いた。

入園料を支払うところでは、牡丹が咲いていた。
大人は300円、シニアは150円でした。

寒い国で暮らしている妹は、冬に花が咲いているのを見ると興奮する。
「どうして2月なのに、花が咲いているのよ!」

さすがに私も牡丹が咲いているのを見たらぎょっとしたが、そんなに興奮しないでよ。

浜離宮の中を少し歩くと、300年松という老木が横たわっている。
すごい生命力。
徳川四代将軍のときから生きているそうだが、あと何百年も続きそうな大木でした。












お庭はちょうど梅の季節。
今年は冬が厳しかったので、梅もまだ満開とはいかない。
でも白、ピンク、赤といろとりどりの梅がとても可愛らしい。
モデルさんの撮影会もしていた。

お庭は広々としていてとても素晴らしい。
徳川の将軍様の離宮ということで、当時の将軍様は海のほうから船でやってきたそうで、その船着場跡というのもあった。
徳川家最後の将軍、慶喜さんが大阪から江戸まで船で戻ってきたときも、この浜離宮に着いたらしい。






そんなお庭を車椅子を押して歩く。
木の根っこや砂利道などは押すのも大変。

それでも妹と二人でなんとか母を連れ出すことができたので、冥土の土産にいいんじゃないかな。















浜離宮はその庭園も素晴らしいのだけど、なんといっても周囲の超現代的なビルとのミスマッチが面白い。
のんびりお散歩をしながら、大東京の街も味わえる。

いつもは異国の大都会で働いている妹にも、東京の良さを堪能してもらいたかったが、とても喜んでいて、誘ってきた甲斐があった。



こちらの写真は浜離宮で販売していた絵葉書をスキャンしたもの。
春の桜、秋の紅葉のシーズンに来るのもいいみたい。







途中、中ノ島というお茶席でお抹茶をいただく。
さすがに外国人観光客も多くいた。







お菓子は季節に合わせて、うぐいすでした。






このお茶席で、シニアのカメラマンという方とおしゃべりをした。
足の悪いおばあさんと、日本を離れて数十年と言うちょいとおかしい組み合わせだったので、目立ったのだろう。
その人の写した絵葉書までプレゼントをしていただいた。

その写真がこちら。
今年の初めの雪だそうだ。
椿がきれい。

クロサワさんとおっしゃいました。どうもありがとうございます。
スキャンしたのを、私のブログに使わせていただきました。


浜離宮を十分堪能した後は、銀座生まれの銀座育ちという母に今の銀座を見せてあげようと思い、八丁目から四丁目まで車椅子を押しながら歩く。

どこにいるのか分かっているのか分かっていないのか、きっと様変わりした今の銀座は、記憶に残っている銀座とはまるで違うのだろうな。


途中、妹が昔、働いていたという松坂屋の近くで、可愛いお店見つける。

外国の人にはきっと喜ばれるようなお雛様や小物をたくさん売っていた。






かなり歩いたのでお昼時間も過ぎてしまったが、車椅子なので、どこの店でもOKというわけにはいかない。
おまけに日本食を食べられるのは明日限り、という妹の満足も満たさなければならない。

というところで、皇居の近くまでずっと来てしまった。

ちょいとおしゃれな定食屋さんを見つけたので、そこに入ることにした。
皇居を目の前にして、ガラス越しに食事をするのも悪くはない。


妹は海外にいては絶対に食べることができない、という「ほっけ定食」をむさぼっていた。
なんでもドルに換算する癖がついていて、「わぁ、これがたったの7ドル」とか「10ドルでこんなにおいしいものが食べられるなんて、日本人はずるい」とか、のたまう。

そんなこと言ったって、仕方ないよね。
でも日本人は食に関しては恵まれている人種だと思う。
清潔でサービスもよく、チップもいらないお店で、世界中のいろいろな食べ物がいただけるんですもの。


東京見物の最後はお堀の前にできたペニンシュラホテル。
ここは私の好きな香港に本店のあるホテルだが、最近オープンしたてなので、見物客の多いこと!
アフタヌーンティーを求めて、若い女性が長蛇の列になっていた。

そして帝劇前まで歩いて、タクシーで帰宅。
このタクシーは下町の運転手さんだったが、道をよく知っていたので助かった。

たまの休みだったけれど、お天気もよく、昔の東京しか知らない母と妹が楽しんでくれて、私も一安心。

次に3人揃っての外出はいつになるか分からない。
おまけに今日の東京見物のことだって、いつまで母が覚えているかも分からない。

でも、貴重な時間を共有できて、それはよかったと思っている。

8 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

大変でしたでしょうが本当に大切な時間を過ごしたんですね。お母様も娘二人に囲まれ最高に幸せな時間だったでしょうね。自分をふりかえると・・・・なかなかできないなぁ。

おおしまとしこ さんのコメント...

chaeちゃん、こんにちは。
まあ、母が喜んでもらえれば・・・ですね。
いつも何も世話をしていないから、その罪ほろぼしかな。
日本はバリアフリーが進んだと言われていますが、まだまだ車椅子で出かけるのは一苦労ですね。押すのはラクですけど、段差があると本当に大変です。

匿名 さんのコメント...
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匿名 さんのコメント...

お母様も妹さんもお喜びだったでしょう。
貴重な時間ですね。
私も親孝行が中々出来ないのですが(自分は良く遊んでるくせに・・・)暖かくなったら外に連れ出してみようかなととしちゃんの文章を読んで反省しました。

おおしまとしこ さんのコメント...

さとさんのお母様は鹿児島なのかしら?

遠く離れていたほうが、かえって親孝行ができるかもしれないですね。同居していると、なかなか鬱陶しく思うことのほうが多いのですが、妹と二人いたので、なんとか連れ出すことができましたが、ひとりでは無理でしょうね。

匿名 さんのコメント...

浜離宮、行ったことはないのだけど、このブログで楽しませてもらいました。けっこう広いんですね。
お母さまも妹さんも、楽しまれたことでしょう。

親孝行らしきことを、私はしてないかなぁ。近くに住んでいるので、犬の散歩で実家に寄るのが日課。母から何度も聞かされる話を、「へえ~、そうなんだ」と興味深そうに(内心はうんざりでも)聞いてあげるのが、唯一の親孝行かな。
心は、傾聴ボランティア(笑)

おおしまとしこ さんのコメント...

マサさん、浜離宮の広さは250,215㎡あるそうですが、それってどれくらいかしら?
ちんたら歩いたら1時間以上かかります。結構広いですよ。何せ将軍様の別荘ですから。池もあるし、小山もあるし、レインボーブリッジも見えるし、楽しめるところです。
ご近所に住んでいて、犬の散歩で寄ってあげるくらいがちょうどいい関係かもしれませんよ。

匿名 さんのコメント...
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