2008年5月30日金曜日

じゃあね~


近所に児童館があり、若いお母さんたちが子供連れで賑わっている。

彼女たちがおしゃべりを終えて、別れ際に「じゃあね~」と挨拶をして分かれていくシーンを良く見かける。

そういえばね、私も大昔、よく「じゃぁね~」と言っていたことを思い出したの。


前にも書いたけれど、私は大昔、アフリカの某国に住んでいたの。

そこは交通渋滞がひどかったのだけど、その解消のために、自家用車の使用が曜日によって番号で規制されていたの。

曜日によって末尾が奇数の車、偶数の車を乗り分けないといけなかったのね。

普通の会社の人はなかなか2台所有できなかったのだけど、私の場合、准大使館ナンバーというのをもらっていたので、その1台で、曜日に関係なくいつでも外出できたの。

それでテニスに行ったり、買い物に行ったり、趣味のサークルに出かけたりする時は、いつも近くの日本人の奥様を誘っていったわけ。

といっても運転は運転手まかせよ。

我が家はドライバーにはいつも恵まれていて、かっこよくて運転技術もいい、評判の良い人が多かったの。


そう、ジェームズというドライバーもそういう人だったの。

背は高いし、礼儀作法もきちんとしていて、白い制服を与えたら、とても喜んでいたのよ。
おまけに彼は日本びいきで、日本のことに何でも憧れていたの。

だって、私たちが日本では2DKの狭い家に住んでいることなど知らないから、
「私を日本に連れて行って、雇ってくれ」と言うのよ。

そういうドライバーだったから、日本語にも興味があったのね。
私が友人を乗せてどこかに出かけ、そして帰り際にいつも「じゃあね~」と挨拶するのが、すごく不思議な響きだったらしいのよ。

ある日、彼が真顔で私に聞いてくるのよ。

「マダム、一つ質問がある。あなた方がいつも分かれるときに言うジャアネというのはどういう意味なのか」

えー、そんなにしょっちゅう、じゃあね~と言っていたのかしら。
自分では気づかなかったわ。

それで仕方なく、
「ジャアネは別に強い意味はないけれど、グッドバイと同じような意味なのよ」と教えたわけ。

「それでは、私もマダムにジャアネと言ってよいか」と言うので、

「ジャアネは親しい間柄のときに使うので、あなたと私は使わない」と教えたの。


そういえばね、当時の私は、大使夫人とか、参事官夫人とか、商社社長夫人とかの肩書きを持った人とのお付き合いも多かったのだけど、堅苦しい挨拶で終わっていたのよ。

「奥様、ごきげんよう」とまでは言わなくても、とにかく結構丁寧な言葉遣いをしていたのよ。

でもそういう付き合いばかりだと、緊張するわよね。

それで同じ大使館員でも二等書記官とか、商社でも平社員の配偶者なら、気軽に付き合えるから、よく一緒に行動していたの。

そいうわけで、彼女たちと一緒にいて、さよならを言うときには、気取らずに「じゃあね~」と言うようになったのね。

それをドライバーが耳にして、「ジャアネは何なのか?」という質問になったわけね。

そんな遠い昔のことが思い出されるわ。


私は、今では学生がたくさんいる職場で働いているの。

学生たちはみんな遅くまで研究をしているようだけど、私は5時とか、6時ごろ、自分の仕事が終われば、さっさと引き上げるの。

その時、「お先に失礼します」と挨拶して部屋を出るのだけど、留学生たちからは必ず、「お疲れ様~」という大きな掛け声をもらうのよ。

日本人の学生はどうですかって?

彼らは何も言わず、いや、「はぁ」くらいは言っているのかしら。

中国人から「お疲れ様~」と言われるのは、妙な気分になるものよ。

12 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今日はばったりと・・とあるところで、どなたかとお会いしたようで(笑)・・嬉しそうに電話をしてきましたよ!!「じゃあね!」といって、別れたのかしら・・(笑)

匿名 さんのコメント...

じゃあね(また)・・っていうのは、また次に会いましょう、楽しみにしてます、っていう意味が含まれているような言葉で、結構気に入ってます。

実は、中学くらいまでは、「バイバイ」とか「じゃあね」とあまりうまく言えなくて、「さようなら」、とかお稽古ごとの仲間には、「ご機嫌よう」、っていうのが多かったことを思い出しました。同級生から「バイバイ」って言われても、思わず「さようなら」って答えてしまって、相手から苦笑されてました。それが自然に「じゃあね。バイバイ」言えるようになったときは、ちょっとうれしかったです。

おおしまとしこ さんのコメント...

トントン、ははは、そうですよ。
人に聞かれても恥ずかしいようなところではありませんでしたけどね。
多分、「じゃぁね~」と言って、お別れしたような気もするなぁ。

おおしまとしこ さんのコメント...

まぁ、たかぽんさんの幼い頃の意外な秘密を聞いてしまった・・・。
たしかに、親しい人同士が気楽に「バイバイ」と言って分かれているのをそばで見ていて、自分が言えない場合だったりすると、ちょっと淋しく感じたりしますよね。
でもそれが言えるようになると、うれしいですよね。
私は今では、「じゃ、また」と言われるのが一番好きかしら?

匿名 さんのコメント...

なんだかアフリカの話はいつも興味深いわ。
私もよく学会で韓国語とか中国語の話せる留学生を使うけどもうずーっと何年も日本人より礼儀正しいです。感心しますよ。

おおしまとしこ さんのコメント...

カンカン、アフリカも遠くなりました・・・。
最近、ナイジェリア人の犯罪が増えているようで、気になりますね。

留学生はみんな礼儀正しいわね。英語も上手だし、日本語と母国語の3カ国語ができるんですものね。えらいわよね。

匿名 さんのコメント...

としちゃん
日本に来る留学生は、発展途上国の
学生が多く、彼らは上流階級の出が
多い気がしますがどうですか?

皆さん礼儀正しいし、年上の人をちゃんと
尊敬してくれるような気がします。
(数人の留学生しか知らない私がこんな事いえませんが)

さよなら、と言うのは、ず~っとお別れしちゃうみたいで嫌いでした。
「じゃ、またね」は直ぐまた会おうね。って
感じで私も一番好き。

「としちゃん、じゃまたね」

おおしまとしこ さんのコメント...

蘭さん、そうですね、日本に来て勉強ができる学生と言うのは、その一族での希望の星なんではないでしょうか。ですから家族の期待が大きいでしょうし、本人もその意識が強いのだろうと思います。それにいわゆる上流階級の出身者も多いでしょうね。
蘭さんは、留学生をホームステイさせているんでしょうか。たいへんでしょうけれど、きっと日本でのお母さんのような存在なんでしょうね。
じゃあね~。

匿名 さんのコメント...

としちゃん
ホームステーはしていません。
娘の大学の関係で知り合った
留学生達です。
それから、世田谷の留学生会館が
近いので近所で知り合った学生もいるのよ。

おやすみなさい。

おおしまとしこ さんのコメント...

蘭さん、了解しました。
そうですか、お嬢様のお友達なんですね。きっと世界が広がりますね。
お花も教えてあげているのかしら。

匿名 さんのコメント...

じゃあね~はお友達同士でよく使います。
バイバイも何となく、そっけない気がして。
あたしの通っていた高校はとても古くて、挨拶は「御機嫌よう」だったのです!
初めはなんじゃこりゃ、と思いましたが、毎日、毎コマのことなので、いつか当たり前に・・・
同窓会の案内が来ると、まずはご機嫌ようから文章が始まります(笑)
もはや、ギャグに近いかな(笑)

おおしまとしこ さんのコメント...

「御機嫌よう」とご挨拶をする学校って本当にあるんですね。漫画の世界みたいですけれど。当然、女子高ですよね。
私の高校は女子が4分の1くらいしかいなかったので、そういうのは無縁でしたね。
同窓会まで「御機嫌よう」とはすごいな。