2008年6月1日日曜日

鶴のマーク


昨日限りで、日航機から鶴のマークが消えたという。

http://www.jal.co.jp/tsurumaru/

尾翼に描かれた鶴が羽を広げた形の赤いマークは、丸い形から、「鶴丸」と呼ばれていたそうだ。


またまたアフリカ話で申し訳ないのだが、あれは30年近く前のこと。

当時も今も、アフリカに日本の飛行機が直行することはない。

そのころは、アフリカに行くにはヨーロッパまで飛んで、そして一泊ホテルに滞在して、そしてナイジェリアエアーという飛行機で8時間近く乗らないと、現地には行けなかった。

だから当地ではたまにエアフランスだとかブリティッシュエアなどをみかけることはあっても、日航機なんて見ることはまったくない状況だった。

それがある時、どういう政治的判断があったのか知らないが、時の外務大臣である園田氏が日航機に乗って、直接ナイジェリアに訪問したのだ。

そしておまけに、その飛行機には落語家が同伴していて、現地では日航主催の慰問会が催された。
私はこの落語会には行かなかったが、最新の「寅さん」の映画会というのも開催されて、これには参加した。

久しぶりに見る日本映画、そして日本各地の美しい風景。

みんな渥美清の演技に大笑いをして、そしてたっぷりと泣かされた。
そのときのマドンナ役は誰だったか忘れてしまったが、あんなに真剣に映画を見つめたことはなかった。

そんなわけで、映画を運んでくれた日航にはみんな感謝の気持ちでいっぱいだった。

そして日本人学校の生徒たちは、あの鶴のマークのついた日航機を見学に飛行場まで出かけたのだ。
子供たちは日航から飛行機か何かのおもちゃを貰っていたと思う。

というのも当時の校長が、園田氏と同じ熊本出身の先生だったので、そういう縁があったのかもしれない。

とにかく、私たちは鶴丸の日航機を目の前にして、どれほど感激したことか。

そしてみな、一日も早く日本の土を踏んで、日本の食事を食べたいと願ったものだ。

日本に住んでいれば、日航機なんて別に珍しくも何ともない。
だか、なにせ遠く何千キロも離れたアフリカで眼にする鶴丸は、大きくて立派で限りなく信頼があった。

(日航機墜落事故の前の話だ)


そんなわけで、あの鶴丸というのは、日本の象徴だったと思う。

私は愛国者でも何でもないが、海外にいて日本と言うと、あの赤くてきれいな鶴のマークがぴったりだったのだ。
きっとあの色と形が日の丸に通じるものがあったのだろう。

それが廃止されるというのは、どういう理由からだか分からないが、本当に残念なことだ。

写真はご近所に咲いていた、ハイビスカスの花。

かの国なら、どこにでも生垣のように咲いていたものだ。

8 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

小さな時、飛行機にのったり、送迎で羽田に行くときは、みんなスーツや帽子をかぶり、盛装だったことを思い出しました。あのころ、日航の鶴のマークとパンナムのマークは子供心にも、一番格好良いマークに見えましたねえ。遠い外国で頑張る人たちにとって、あのマークが見ることは、さぞ心強かったでしょうね。

おおしまとしこ さんのコメント...

昔は飛行機で旅をするとなると、本当に今生の別れのような感じでしたね。お餞別をもらって出かけたこともありましたね。今はバスに乗るように気楽な気分ですけれど。
パンナムもすでにないのですね。
鶴丸もなくなるし、残念なことです。

匿名 さんのコメント...

としちゃんのお話は幅広くて楽しいね!
アフリカの話も面白いわ、それは全然行ったこともない国だから何でも興味がわきます。
でもよく覚えているのは流石です。

わたしは滅多に飛行機には乗ることがないけど乗るときはJALカードを持ってるから日航に乗ります(笑)そしてただ券でスキーに行ってます(笑)
鶴丸が消えるのは寂しいことですね。

おおしまとしこ さんのコメント...

さとさん、私は物覚えがあまりよくないほうなんですよ。
でも、このブログをするようになって、いろんなことが次々に連想されてくるようになりました。30年間、いちども思い出さなかったことでも、ふたが開けられたように、今になって思い出すことがあります。
記憶って不思議だなぁ、と思いますね。

ただ券でスキーに行くなんていいですね。
私は最近はANA派になりました。

匿名 さんのコメント...

そういえば、私は日航機にはあまり乗ったことがなくて、国内で1-2回。初めての海外旅行は日航機の予定だったのに、クアラルンプールの事故、ハイジャックと続いたため急遽、ブリティッシュに変わり、パリ・イタリアの予定が1泊ロンドンが増えて、お得だったことがありました。
あの鶴のマークは勤めていた会社が、搭乗員の制服の一部を作っていたかで、エプロンとかを見かけていたので懐かしいです。

おおしまとしこ さんのコメント...

最近はハイジャックってあまり聞かないですね。乗るときの検査が厳重になったせいでしょうけれど。
トントンの会社で制服を作っていたんですか。
制服もいろいろ変わっていますね。私は去年乗ったスターフライヤーのパンツルックが機能的でいいじゃないかと思いますけど、男性にはやはり昔ながらのタイトスカートがいいのかしらね?

匿名 さんのコメント...

10何年か前、家族で旅行したときのこと。国内だったか、海外だったは覚えてないんだけど。
帰りの機内で、キレイな客室乗務員が娘たちに、微笑みながら話しかけてきたの。
「今度飛行機に乗るときも、鶴のマークの飛行機がいいって、ご両親に言ってね」って。
あんな親しみのあるCAって、あとにも先にもなかったな。

おおしまとしこ さんのコメント...

なるほど、子どもに話しかけるというのは、いい作戦でしょうね。子どもは素直だからきっと覚えているでしょうし。
でもその鶴のマークがなくなっちゃって、これからはどんなマークになるのか知らないけれど、子どもでも覚えやすいマークがいいわね。