2008年6月19日木曜日

奥の細道


私の住んでいるところの文化会館で、関野準一郎さんの「奥の細道」版画展というのを開催している。

先日、たまたま入ってみたのだけど、あまりの素晴らしさに、皆さんにもお伝えしようと思ったの。

関野さんという方は青森県出身(あの棟方志功さんと同じ)の版画家で、20代で上京して、それから少ししてからずーっと、この市に住んでいらっしゃった方です。

私はこの方のことは、市のカレンダーなどで知ってはいたのだけど、これほど有名な方とは知りませんでした。

略歴を見ると、紫綬褒章ももらっていたり、アメリカでも有名な版画家だそうです。
というよりも、アメリカで最初に評価されて、そして日本でも認められたようです。


今回の展覧会は、「奥の細道」で芭蕉が旅をした各地を関野さんが訪ねて、俳句にあわせて風景を版画にしたものでした。

お江戸日本橋や浅草からスタートして、松島、瑞厳寺、中尊寺、鎌先、鳴子、尾花沢、最上川、立石寺・・・・などたくさん展示してありましたよ。

このほどの地震被害地になったところも含まれているかもしれないので、ちょっと緊張してみていました。

雪の景色、新緑の景色、青森や北陸の各地の景色と、芭蕉の俳句がうまくMIXして、独特の世界を築きあげていました。

先日、訪れた琵琶湖の近くにある石山寺の芭蕉が愛した「芭蕉庵」の版画も展示してあって、
「そうそう、ここに行ったのよ」と嬉しくなりました。


この前、京都で山口伊太郎さんという西陣織作家の作品展を見たときも思ったのですが、絵画というのは絵だけなんですけれど、織物とか版画というのは、その絵に加えて、それ以上の労力が必要なのですよね。

コツコツと地道にする作業です。
気が遠くなるほど、ひと彫り、ひと彫りされたのでしょう。

そしてバレンで力を込めて押す。

展覧会では、関野さんのお仕事の様子も説明してありましたけれど、版画というのは単に一枚の板に彫るだけではなくて、何色も使用してある場合、その色ごとに版画を彫るんですね。
赤い色の部分、緑色の部分、金色の部分と、何パターンも彫るのです。

言葉足らずなんですけれど、すごいなーと思わざるを得ませんでした。

入場は無料ですから、お近くの方、どうぞご覧になってください。

館内では生前のビデオも上映しているので、お薦めします。

参考HP:http://www.enchanteart.com/0j-sekino.htm

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

素晴らしいです!!
こんなに繊細な版画があるなんて、知りませんでした。
きっと実物は、質感も普通の絵とは違うのでしょうね。
芭蕉の芸術と呼応したのでしょうか。
もっと都心で展覧してくれたらいいのに。
優しくて力強くて、お人柄を感じます。

おおしまとしこ さんのコメント...

史aya子さん、ほんと、そうなのよ。とても情感溢れる版画でした。そしてその絵が芭蕉の俳句とぴったりなの。あちこちで展覧会をしているようだから、機会があったら、行ってみてね。
関野さんは74歳で10年ほど前にお亡くなりになったのですけれど、とてもいいお顔の方でした。

匿名 さんのコメント...

年齢には関係ないのですね。
先日の錦絵巻の時も感動しましたが、幾つになっても情熱を失わないというのは素晴らしいです。
この頃特に年齢を感じてるので気合を入れなくっちゃ(笑)
疲れるのよねぇ~

おおしまとしこ さんのコメント...

さとさん、風邪引きは大丈夫ですか?
お鼻はなおったかしら。
この関野さんも中年過ぎてからずいぶん、積極的にあちこちに出かけていたようです。
お年をとってからのほうが、ずっとハンサムになったみたいな方でしたよ。
さとさんは、まだ十分にお若いから大丈夫よ~。

匿名 さんのコメント...

今日市役所に行った帰り、見てきましたよ~。版画って、もっとゴツゴツした感じだと思っていましたが、日本画のようにきれいでしたね。
私は、地味ですが、「永平寺」が印象に残っています。
「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」
新宿に行く用事があったので、じっくりとは観賞できなかったけど、あさってまでの開催とあって、見てよかったわ。
としちゃん、教えてくれてありがとう♪

おおしまとしこ さんのコメント...

マサさん、よかったでしょ?
版画のイメージが変わりますよね。絵がとにかくきれいでしたよね。
永平寺は私は大学1年の頃にグループで出かけたところですけれど、今行ったら、きっと感想も変わってくると思うわ。
版画は普段は郷土博物館に保存してあるそうですよ。