2008年8月6日水曜日

千年前の影響


このブログは2008年8月5日の朝日新聞に載っていた記事を読んで書いたものです。


今から千年前に書かれた源氏物語が、現代の小説にどんな影響を与えたか、ということのまとめ。

源氏物語の中のパターンが、現代の小説にもたびたび登場するのは、源氏物語が日本最大の古典であり、人間の普遍的な心情を描いているためという説明がありました。

そういうことは評論家に言われるまでもなく、源氏物語には現代人が直面している恋愛と同じパターンがたびたび登場しています。

女性一人を挟んだ男二人の三角関係(宇治十帖など)、夫や婚約者がいながら他の男性にひかれていく女性(藤壷、夕顔、朧月夜など)、義理の母親を恋してしまう若い男の子(源氏)、夫が他人の女性との間で生まれた子供を引き取って育てる話(紫の上)など・・・・。


現代の人気作家である村上春樹の『海辺のカフカ』は読んだことがないのだけれど、六条御息所の霊が葵の上にとりついたことが下地になっている物語だそうです。

かつての文豪・谷崎潤一郎が『細雪』を書いたのは、源氏物語の中でも源氏が中年になってから六条院にあまたの女性を一堂に住まわせた話に通じるところがあったためだろう、と説明してありました。

また川端康成の『古都』は、藤壷と若紫のような二人の女性が登場する小説だそうです。

どちらも読んでいないのだけど、そのうち読んでみるわ。


源氏物語はこういった男の作家の書く小説だけではなく、女流作家にも影響しているそうで、たとえば円地文子は『花散里』という小悦を書いているそう。
ご本家のほうでは、花散里は控えめでおとなしくて、心やさしい女性として描かれていますが、円地さんの小説では一人の独立した女性として描かれているそうです。
花散里という女性は、源氏が中年になってからは男女のつきあいを超えた友情関係にあるように読めましたけれど、それも彼女が一人の人間として独立していたからできたことなのかもしれません。

義理の母との密通ということでいえば、島田雅彦の『無限カノン』という小説は、源氏物語の本質に通じるものがあるらしいわ。

丸谷才一の『輝く日の宮』は、五十四帖以外に存在したといわれる幻の一帖を探求する話らしい。

清水義範の『読み違え源氏物語』は源氏物語のパロディ版。これは私も読みましたよ。


朝日新聞の記事によると、これだけ源氏物語から影響を受けた本があるそうです。

読んでみたい本がたくさんあって、困るわ。

8月6日の新聞には、その続きとして漫画や舞台(宝塚など)の紹介もしてありました。

源氏物語の原本は難解かもしれないけれど、自分の好きな小説家や漫画から入っていくのも、いいかなと思います。

10 件のコメント:

匿名 さんのコメント...
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匿名 さんのコメント...
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匿名 さんのコメント...

としちゃんのお陰で私も源氏物語に興味が出てきて色んなことを知りました。
ホントに平安時代も現在も人の行いや気持ち恋愛など大きくは変わっていないのでしょうね。もっと源氏物語の中の人々の心情をちょっと知りたい気持ちになってきましたよ。
少し進歩です(笑)

いい本があればまた教えてね!
英語になってるね???この欄。

おおしまとしこ さんのコメント...

さとさん、急に英語表記になってしまったのよ。前にもそういうことがあって、突然日本語になおったの。おかしいですよね。

源氏物語の頃と一つだけ違うことは、当時は男の人は何人も奥さんというか愛人を持つのが当然だったじゃない? だから女性は常にやきもちを焼いていたり、自分のことを本当に愛してくれているかどうか不安に満ちていて、それがすべての女性の心に潜んでいたわけよ。
それが現代ではとりあえず一夫一妻制だから、愛人の出現というのは、なれていないから、そうなると大変なことになるのよね。
どちらがいいか分からないけれど、常に女性のほうが心の葛藤があると思うわ。

匿名 さんのコメント...

としちゃん

朝日新聞読みましたよ。
それからね、俗っぽいのですが
10月から宝塚でも源氏物語をやるらしいわ。久しぶりに宝塚に行こうと思ってます。

屋久島は今週末からですか?
天候が不安定ですが、気をつけて
楽しんできて下さい。

匿名 さんのコメント...

男女の三角関係や、夫や婚約者がいながら他の男性に惹かれる女性、義理の母との道ならぬ恋、いつの時代にあっても普遍的なテーマですね。
だからこそ、影響を受ける作家がいて、今もって人々に読み継がれるのでしょう。

それはそうと、今日やってきましたよ。ZUMBA!

匿名 さんのコメント...

私も今日朝日に大きく載っていて今源氏がブームだなって思いました。昨日も載っていたのですね。花散里の事以前としちゃんから聞いたような気がして興味を持ちました。

おおしまとしこ さんのコメント...

蘭さん、宝塚でも源氏物語をするんですか?
10月なのね。行きたい!! チケットはどうやって買ったらいいのでしょう?
屋久島は来週の月曜日からです。
その前に母をショートステイに連れていったりしなければならないの。

おおしまとしこ さんのコメント...

マサさんちはご主人とラブラブのようにお見受けしますが、世の中にはいろんなパターンがありますね。最近は小説より事実のほうが進んでいるというケースもあるみたいですけどね。
水曜日のZUMBAは楽しめましたか?
あの先生のスタイルに憧れているんですけど、無理ですね~。

おおしまとしこ さんのコメント...

カンカン、朝日新聞には2日連続して掲載されていたのよ。最初の日が小説、次の日が漫画や舞台や映画関連でした。
花散里は源氏の息子夕霧や、玉蔓を育てていたの。自分の子供でもないのに、源氏からの信頼が厚かったのだろうと思うわ。
私から見ると、ゆったりとしていてそれでいて母性にあふれる女性だと思うけれどな。