2009年4月14日火曜日

源氏物語の新しい読み方

「源氏物語の新しい読み方」という講座に参加してきました。

これは「ユートピアの会」という読書グループの公開講座だったの。

講師は元昭和女子大学の教授をしていた西沢正史先生という方。

外見はもっさりとしたオヤジタイプなんだけれど、話はとても面白かったわ。
明石の君のことを、「現地妻」と言ったり、登場人物をそれぞれを今の天皇家や林家三平ファミリーになぞらえたりして、分かりやすいお話でした。

源氏物語って本当に現代に通じるところの多い大河小説なのよ。


先生は、まずは源氏物語をあまり詳しく知らない人のために、ストーリーの構成を話してくれて、つぎは光源氏が関わった女性ごとに分かりやすい表をもとに説明をしてくれたの。つまり源氏が何歳の時に、誰と付き合っていて、その人は誰を産んだか、その親は誰かという系図です。

そして今回は紫式部の分身ではないか、と言われている空蝉について詳しくお話ししてくれました。

紫式部と言うのは当時ではものすごい晩婚で、27歳くらいで20歳以上年上の受領(県知事のような立場かな?)と結婚したのだけど、今で言ったら40歳の婚期を逃した女性が60歳くらいの初老の人といっしょになったようなもの。

そして娘を一人生むのだけれど、そのあとすぐにこの旦那は亡くなってしまうのよね。

未亡人となった紫式部は30歳過ぎて、宮中に就職して中宮彰子の家庭教師のような仕事について、源氏物語を書くわけ。

中宮彰子というのは、言わずと知れた当時一の栄華を誇っていた道長の娘。

紫式部は道長からも言い寄られたことがたびたびあったようなんだけれど、結局道長からは逃げたのよね。


そんな彼女の生き方とそっくりなのが、空蝉。

空蝉は当代一のイケメンで、若くて、お金持ちの光源氏からのお誘いを断って、薄い衣だけを置いて源氏からは逃げて行くのよね。

そして空蝉は年取った受領の旦那について地方に下り、そこで生活をするわけ。

かなりの月日が流れ、お互いに大人になった源氏と空蝉は、石山寺で再会するのだけど、若かりし頃の二人とは違っている。

結局、空蝉は尼になるのだけど、紫式部も出家したではないかと言われているでしょ。

確かに紫式部は自分の小説の中で、空蝉に自分の姿を似せて書いていると思われるわね。


今日の講師の先生は、「源氏物語」というのは「宿世」(すくせ)を負った女性の生き方の話だというの。

つまり運命づけられたいろいろな悪条件のもとにある女性が、それをいかにして克服したか、あるいは負けてしまったかというのが主題だというわけ。

光源氏は主人公ではあるけれど、紫式部が本当に書きたかったのは、源氏と関わりのあったたくさんの女性の生き方ではないかということでした。それは私もそう思うわ。

宿世を乗り越えた代表的な女性としては、明石の君をあげていたわ。

彼女は、地方の豪族の娘として生れ、源氏と関わり、一人娘を産んではみたけれど、自分の手で育てることはできず、母の立場を放棄せざるを得なかった。
それでも娘の明石の中宮がたくさんの子供を産んだことにより、その実母ということで、結局は幸せな人生を送ったのよね。


この講座、内容も先生もおもしろかったので、会に入会して定期的にお勉強をしようかと思ったの。

でもね、そのメンバーがあまりにおじいちゃま、おばあちゃまが多くて、そのゆっくりとしたテンポは私にはちょっと合わないかなと思ったので、入会は見送りました。

私自身、十分に中高年の仲間なんだけど、まだせかせか人間なので、やはり若い人のほうがいいな。

◆◆◆◆◆◆

写真は4月11日の土曜日に写したもの。

うちの近くのおうちに咲いていたツツジ(?)。
ピンクの花びらがなんとなく私のイメージした空蝉の薄衣に似ているかなと思ったの。

下の写真はやはり同じ日。
私の住んでいる市の花、ハナミズキです。

本当なら5月に咲くのだろうけれど、4月なのに咲いてしまっています。
このあたりは、ハナミズキが街路樹としてたくさん植えられていて、ひらひらとした花がとてもきれいよ。

6 件のコメント:

さと さんのコメント...

面白いお話ですね。
女性の生き方は昔の人でも今に通じるし興味深いわ。
解説していただけると私でもわかる感じがするのよね~

私も今日は花ミズキを載せようと朝雨の中写真を撮りました。
でも何だか眠くなってきて(苦笑)まだ書けていません。。
としちゃんも偶然花ミズキでびっくり。
ホントに初夏の花と思ってたのに早いわ。

かよこ さんのコメント...

そんな講習会があるんですね

こちらは田舎だからそういう機会には中々恵まれませんが、機会があったら是非参加してみたいと、この記事を読んで思いました。

もう、はなみずきですかぁ~
今日、ちょっと寄るところに毎年咲いているので、咲いているか見てきます!(^^)!
まだかなぁ~?

おおしまとしこ さんのコメント...

さとさんもハナミズキだったのね。偶然。でもさとさんのはご自分で育てた木だから、花が咲くと喜びもひとしおでしょう。私はただ見ているだけですもの。

源氏物語はいろんな人の訳を何回も読み返しています。そうするとそれまで見えてこなかったものが、だんだん分かるようになり、面白さが深まっていくわ。

おおしまとしこ さんのコメント...

かよこさん、おかえりなさい。楽しかったでしょう。
かよこさんのブログは、私のPCではうまく表示されないことが多くて、なかなかコメント入れられませんでした。
今年は、花水木も他の花も咲くのがとても早い感じがします。そちらでも咲いているかしら?

マサ さんのコメント...

この講習会、たしか市報に出ていたわよね。実は、私もね、ちょっと惹かれて受けてみたいなぁ~って思ったの。
でも、すぐ忘れてしまった。としちゃんのブログで思い出したわ。すぐ行動に移さないと、思い出した時には、たいてい終わっているわね。

私の場合、習っている教室は、すごく年上の方が多いのだけど、若い人といるより落ち着くわ。私自身が、ゆっくりとしたテンポだからでしょうね。
「そこの若い方」って言われて、いい気になっている(笑)

おおしまとしこ さんのコメント...

あ、マサさんも気づいていたのね。
8階の映像シアターがほぼ満席になるくらいたくさんの人が来ていたわよ。

私もね、三味線のお教室ではどちらかというと若いほうね。
でも、いつも20代の学生といたから、超高齢者のアナログ世代だと、合わせるのが大変。ま、そのうち私も高齢者だから、若い人から相手にされなくなるかもね。