2010年1月31日日曜日

女流名家長唄大会


今日は私の三味線の先生が舞台に出演されるので、日本橋三越の6階にある三越劇場まで行ってきました。


長唄協会の新春邦楽舞台始めというのでした。
長唄の演奏会なので、さすがに着物姿の中高年の女性が多く来ていました。


先生は「鞍馬山」という長唄のたてで歌っていらっしゃいました。この曲は私も知っている曲なので、親しみがありました。

出演しているのは、みなさん、名取の人ばかりなので、とてもお上手です。

(ここは撮影禁止なので、写真はありません。)

でも劇場の中がものすごく暑くて、あまりなじみのない曲だと、つい、うつらうつら・・・・。
私もいつになったら、ちゃんと弾けるようになるのかな。

劇場内があまりに暑いので、お昼はデパートの屋上まで行って、頭を冷やしてきました。


日本橋三越は、いかにも「百貨店」という感じですね。
フロアも重厚で、歴史が感じられます。


屋上には「三国神社」というのがあり、紅白の梅が咲いていました。後ろにそびえたつ高層ビルとアンバランスですね。






演奏は25曲もあり、全部見ると夜になってしまうので、途中で切り上げてきました。

こちらは三越の裏にある日本銀行。


東京駅までぶらぶらと歩いて行きました。

2010年1月30日土曜日

父母の日

今日は父の命日でした。おまけに昨日は母の86歳の誕生日だったので、娘と二人で母のいるホームへ出かけました。

母は昨日が自分の誕生日だったことはよく覚えていて、おめでとうと言うと嬉しそうでした。

ところが、「今日はお父さんの命日なのよ」と言っても、「あら、そうだったっけね~」と言うばかりで、全然覚えていないのでした。ふーん、そんなものなのかしら。
マサさんのお母様も亡くなったお父様の誕生日を忘れたというけれど、女性はそういうものなのかしら。

ところで、今日、ホームを訪ねたのにはもう一つ、理由があったのです。

それは、カナダに住んでいる妹が、母の誕生日のプレゼントということで、昨年末にインターネットから日本の花屋を探して、母のホームへ誕生日に送ってもらうように手配をしていたのに、花屋の間違いでなんとそれが年末の12月29日、つまり本当の誕生日よりも1カ月早く届いてしまったのでした。


これが、1カ月早く届けられてしまった花束。(ちょっとしおれていますが。)

当然、受け取った母は何の花なのか分からず、ホームのスタッフの人も、「きっと、お正月だから送ってくれたのだろう」ぐらいに思っていたようです。
それが、私がホームに出かけたときに花束を見つけて、伝票にもちゃんと「1月29日に送ること」という注意事項が書いてありました。

そのことをカナダの妹に伝えたら、彼女は怒ってネットで花屋にクレームをつけて、もう一度、本当の誕生日に送ってくれるよう話をつけていたのです。

それで私は、ちゃんと誕生日にも花が届いたかどうか、ホームに見極めにいったわけでした。


こちらが2回目に届いた花束。ピンクと赤の花が若々しいですよね。

とても大きくてきれいなので、母の個室ではなく、みんなが集まるリビングに飾ってありました。


さっそく、妹には「本当のお誕生日にもちゃんとお花が届いた」と伝えました。
ホームのみなさんも、2回も違ったお花が眺められて、よかったかもしれませんね。

1回分の費用で2回もきれいなお花が届けれられて、儲けものだったかも。

2010年1月29日金曜日

養老先生 講演会

また川越に行ってきました。

と、いっても今回はお散歩ではなくて、「バカの壁」でおなじみの養老孟司先生の講演会。

この前川越に行った時、そこで配られていた町のパンフレットに、川越商工会議所主催の養老先生の講演会のお知らせがあると載っていたの。ダメもとで応募したら、当たってしまいました。

川越商工会議所というところは、今年創立110年周年を迎えるそうで、歴史のある会社が多いということでした。なんと100年以上続いている伝統ある会社がかなりあるそうで、それだからこそあのような蔵のある素敵な町になるのね、と納得しました。

今回は「川越」といっても、西武新宿線の「本川越」駅に隣接している川越プリンスホテルまで行きました。
鉄道の駅の名前がややこしいの。「川越」もあるし、「本川越」もあるし、「川越市」という駅名もあるのよ。


さて、会場には商工会議所の会員である地元の商店の人たちや、一般の人たち、なんと950人も来ていて、ホテルの大広間3部屋分、ぶち抜きで満席でした。暑くてたまらなかったわ。

養老先生は今年73歳だそうですけれど、すごく若々しいの。
真っ白でふさふさの長髪、ストライプの入った濃紺のスーツ、濃いブルーのワイシャツを着こなして、片手にマイク、もう片方はズボンのポケットに入れながらの立ちスタイルでのおしゃべりでした。

タイトルは「面白く生きる道しるべ」。

80分の講演時間でしたが、お話が面白くてすぐに時間が過ぎてしまいました。


養老先生は長い間、大学で人体解剖をしていて、それに関する面白い話もたくさん聞けました。
つまり解剖をするには死体がないとできないので、あちこちの養老院と契約を結んでおいて、どなたかが亡くなったときは、夜中だろうが、すぐに引き取りに行くという人の嫌がる仕事をずっとされていたそうです。時には葬儀に立ち会ったり、いろんな遺体を見たりと、普通の人では経験できないようなこともたくさんされたとか。

そういう即物的な仕事に携わっていたので、物事を頭で考えるというよりも、身体を使って考えるという姿勢がしみこんだように思えました。

そういう方から見ると、現代の若者は、「ああすればこうなる」という予測に従って行動することが多く、たとえば「勉強をすれば良い大学に入れる」、「良い大学に入れれば、良い会社に行ける」というような思考パターンにならされているので、それがちょっとでも違う結果になると、とたんに挫折してしまう傾向があるというご指摘でした。

でも養老先生に言わせれば、結果が分かっていることに取り組むのはまるで面白くないとのこと。当たり前でない、予想もしなかった結果になってこそ、面白いのだ、ということでした。
「当たり前のことしかやらないのは、面白くない」と断言していましたね。

他にもいろいろと社会風刺的なお話をされていましたけれど、それもご自分の大学での生活に基づいた話だったので、お客さんはみんな納得していたようでした。

私としてはもう少し養老先生の「唯脳論」を聞いてみたかったのですけれど、まぁ、新春講演会というで、やさしい内容でも仕方ないかもしれません。

意外だったのは、養老先生は京都の漫画ミュージアムの館長さんもされているとのこと。ちょっとへー、でした。

養老先生、もうちょっと痩せていたら、もっとかっこいいのになー、とミーハーの私は思ったのでした。

でも、生で講演を聴けて、よかったわ。

2010年1月28日木曜日

クリムト

スポーツクラブに通うときは、いつもこの写真のでかいカバンに着替えなどをがばっと入れて、自転車の前かごに突っ込んで出かけているの。


だから形も崩れていて、あまり人さまに見せるようなものではありません。

おまけにこれ、去年の(!)お正月の福袋を買った時の袋で、ちょっときれいな絵柄だし、大きさがちょうどいいので使っていただけなの。

ところがですよ、先日、このかばんを提げて、パ○コの中にあるB・ショップに行った時のこと。
私はボディ・クリームが欲しくて行ったのだけど、どれにしようかな、と迷っていた時、店員さんが
「お客様、それ、クリムトですよね」と話しかけて来たのよ。

そういえば、クリムトという画家の名前は聞いたことがあるけれど、どんな絵を描く人かまるで知らなかったの。私は適当に、「あら、そうなの。」とかごまかしていたのだけれど、でもその店員さんはよほどこの絵が好きなのか、親しみをもっていろいろと話しかけてきたの。

私が探していたクリームもいろんな種類を見せてくれて、匂いをかがせてくれたり、どれがどう違うとか、説明をしてくれたのよ。

B・ショップはどこにでもあるお店だし、どこで買っても同じ値段なんだけど、ここの店員さんがとても感じが良かったので、私はつい、大きいサイズのクリームとおまけの小さいサイズの携帯用クリームまで買ってしまいました。


家に帰って、「クリムト」を検索したら、クリムトという人はウィーンの画家で、「愛とエロス」がテーマなんだそうよ。

そしてこの絵は、まさに彼の「接吻」という絵から取ったものだったのでした。


こちらは今まで愛用していたココナッツの香りのクリーム。


こちらはお花の香り。店員さんにすすめられて、初めて買ってみました。

その店員さんがクリムトのことを話さなかったら、私も2個もクリームを買わなかったと思うのよ。それだけ彼女の接客態度に満足したわけ。

********

逆のこともありました。

前にも書いたように、韓国の化粧品会社の口紅が気に入って、そのお店が新宿三越にも入っているというので、先日、ついでがあったときにそのお店に寄ってみたの。
そして私の好きな色の口紅を差しだして、「これと同じようなのが欲しいのだけど、選んでいただけますか。」と聞いたのよ。

そうしたらその店員、「これは韓国仕様なので、日本では売っていないんです。」というの。
そんなこと、私は知っていますよ。でもこのメーカーが気に入っているのだから、同じような色のが欲しかったのよ。
店員は、「日本人と韓国人では口紅の好みの色が違うんですよ。だから日本ではこういう色はないんです。」と言い張るのよ。

おまけに「お客様が韓国に行って、そちらで買ってきたらどうですか。」と言うの。
そんなこと言われたって、そうそう韓国に何回も行くわけにもいかないし、だからわざわざ新宿まで来ているんじゃないの!

たとえば、「あいにくとこれと同じ色はありませんけれど、お客様にはこちらの色ならお似合いだと思いますよ。」とか言って他の色を差し出してくれれば、私なんて単純だから、「あらそう? それではそっちを買うわ。」ということになると思うのよ。
そういうことも言わないで、「ありません」の一点張り。

私はがっくりしてその場を去ったけれど、これでお客を一人取り逃がしたわよね。

接客業は難しいわよね。それにお客様あっての商売。
つまりちゃんとお客の気持ちになって相手をしてくれるお店なら、多少高くてもそこで買いたいわ。安いだけが勝負ではないはず。


クリムトのカバンを使うたびに、この二人の店員さんのことを思い出すのです。

2010年1月27日水曜日

失物(なくしもの)

最近、よくモノをなくすのよね。
なくす、というよりも、しまった場所を忘れてしまうの。ちょっと置いたつもりが、「あれー、見つからない!」と、慌てることしばし。

それで「ああ、私も年なのかな~」と情けなく思っていたの。


対処方法として、何かをどこかに置くときには、「鍵はここに置くわよ」とか、「眼鏡はここに置くからね」というように、自分に覚えこませるようにしているの。指先確認ではないけれど、とにかくしっかり自覚させているの。

それでも何の気なしに、ひょいとどこかにしまったりして、肝心な時に、モノが見つからない時があるのよ。


ところがですよ、新年に引いた花園神社のおみくじに、「なくしものは必ず出ます。早くさがすこと」と書いてあったので、それからは「失くしたと思ったものでも、必ず見つかる」という信念を持つようにしたのです。

そうしたら、失くしたと思っていたものが、本当に見つかるようになったの。

たとえば、お気に入りのつげの櫛。
小ぶりですごく使いやすくていつも持ち歩いていたはずなのに、スポーツジムに行ってシャワーを浴びた後、髪の毛をとかそうと思ったら、化粧ポーチの中に見つからない。あー、どうしよう! 
でも冷静になり、自分のそれまでの行動を思い出してみて、
「そういえば、大学の洗面所で髪の毛をとかしたときに使ったはず。」と分析をして、大学のロッカーに置いてある手提げ袋を探したら、ちゃんと入っていました!

またUSBメモリーのふたが見つからない、と焦ったときも、冷静になって探してみたら、ノートパソコンの下に潜り込んでいました。

仕事関係の重要な契約書が見つからないと思った時には冷や汗が流れましたけれど、よく考えてみたら、その契約書を最後に見たのはまだ以前の職場にいたときのこと。そう思い出し、今の職場の倉庫のようなところにある段ボールに入っているに違いない、と見当をつけて探したら、ちゃんと書類がありました!


こんなこと、当たり前と言えばそれまでなんだけれどね。

でもね、「なくなった~」と思っても、慌てないで落ち着いて考え、焦らないようにすれば、必ず見つかるという信念を持つのが大事だと思いました。

そう、私にとって、今年の教訓は「失くしたモノは、必ず見つかる」ということなのです。

というか、私のあわてん坊ぶりが分かってしまいましたね。

写真は大学の庭に咲いている真っ赤な椿。本当はもっと古風な緋もうせんのような赤なんだけれど、フューシャ・ピンクっぽく写ってしまっています。

2010年1月26日火曜日

「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」

今日の天気はすごく寒いという予想だったので、屋外に出るのはやめて、パ○コの映画館に行くことにしました。

「のだめカンタービレ」


漫画が原作で、テレビでも上映されていたそうですけれど、私はまるで初対面でした。

一言でいうとピアニストの野田めぐみこと「のだめ」と指揮者の千秋先輩の恋愛もの。

今回は、千秋先輩が、だめオーケストラをよみがえさせるというストーリーで、お話の舞台がパリやウィーンだったので外国の風景やコンサートホールの様子も楽しめたし、クラシック音楽をふんだんに聞けたので、すごく儲けものの映画でした。

ヒロインは「スゥイング・ガール」の上野樹里、そしてヒーローはあの玉木宏さん。
二人とも音楽の才能がある人でしょうけれど、とくに玉木さんの指揮者ぶりはかっこよかったわ。


彼の映画は戦争ものの「真夏のオリオン」を見たことがあるだけなのだけど、あのときはサラサラ・ヘアーが軍人らしくなくってなんだかがっくりしたのですけれど、今回の役はまさに最適。長い髪を振り乱しながら指揮棒を振り、ちょっと繊細そうな音楽家がぴったりでした。

エッフェル塔やサクレクール寺院、セーヌ川などのパリの風景も堪能できたし、2時間楽しめました。
それにもともとが漫画なので、あちこちにアニメのシーンが盛り込まれていて、それがまた可愛いのよ。きらきらのハートマークだったり、可愛い動物たちが登場したり、はちゃめちゃなところもあり、ミュージカルのような感じだったわね。

映画のストーリーはまだENDではなくて、7月には後編も上映されるとか。この二人の恋の行方も最後まで見たくなりました。

映画はこういうふうにぱーっと明るくて、気持ちが晴れ晴れとしてくるのがいいな。


最後のシーンで、ガーシュインの「ラプソティ・イン・ブルー」がかかったのもお洒落な感じでよかったわ。

2010年1月25日月曜日

ろうばい

うちの目の前にあるフラワー・ガーデン。

普段は入園料が500円もするのだけれど、1月から3月のあまりお花の咲いていない時期は、300円に割り引きなの。
おまけに系列のショッピングカードを持っていると、なんと100円で入園できるというので、出かけてきました。


日差しは暖かくておまけに風もないので、お庭を歩くのも楽チンです。

春に向けて、お庭はまだ準備中のようでしたが、それでも葉ボタン、パンジー、クリスマスローズ、ミニシクラメンなどがたくさん咲いていて、1月とは思えないくらい。

こちらは「ろうばい」。寒い時に咲く花です。中国から来たお花のようです。


黄色い小さな花がとても可愛い。


空が青く澄んでいて、きれいでした。


「香りが強い花」と聞いていましたが、それほど匂いは感じませんでした。


池では水鳥たちが、逆さまになって水中に頭を突っ込み、えさを探しているようでした。


何の写真だか分からないって?
逆立ちしているシーンです。
望遠レンズならうまく写せたでしょうけれど・・・。

2010年1月24日日曜日

三味線とパンケーキ

昨日は三味線のお稽古でした。家でしっかり練習していったつもりでも、先生の前で弾くと、指使いやばちの使い方がなかなかうまくできないのよね。えーん。でもがんばるわ~。

来週は先生が出演される「女流名家長唄大会」が日本橋であるので、切符を購入してきました。勉強させていただきます。


その後は母のいるホームへ。

お天気も良かったので、車椅子に乗せて、近くの○イヤル・○ストへ連れて行きました。
母はこういう場所に行くのは久しぶりなので、テーブルの前にいても、きょろきょろと落ち着きませんでした。
チョコレート・フォンダンケーキというのと、パンケーキを頼み、ドリンクバーでコーヒーをついできました。
グループホームにいると、ほうじ茶や紅茶の出ることが多いようなので、たまにはコーヒーを味わってもらおうと思ったわけ。

母は初めはあまり食べなかったのですが、そのうちにパクパク食べだして、4枚重ねのパンケーキもぺろり。
こんなに食べたら夕食が食べられなくなっちゃうのに。
でも満足したようで、私も一安心。


写真は神戸国際会議場で咲いていたお花。
これ、何という名前でしたっけ?

2010年1月23日土曜日

乱読

最近、去年の暮れ頃から新年にかけて読んだ本の感想を少し書いてみましょう。

橋本治さんの「源氏物語」は昨日のブログの通り。

現代ものでは、角田光代さんの直木賞受賞作品の「対岸の彼女」


たぶん30代後半くらいの女性(専業主婦だった人と、起業している女社長)のお話。
作品の構成はうまいと思うの。現代に生きる対象的な二人の様子と、そのひとりである女社長の高校生時代の話を交互に描いています。会話も自然だと思うし、状況説明も的確で、文章力もある作品だと思うの。
ただし私と年齢差があるのが理由だと思うだけど、どうしても実感が湧かない部分があるのよね。特に高校生時代の話(女子高生二人が伊豆の民宿でバイトして、その後二人で放浪の旅に出て、都心のホテルを泊まり歩くところなど)が、あまり現実的とは思えなくて、イマイチ、共感できなかったな。

この人の本は、以前、「空中庭園」というのを読んで、すごく面白かったのを覚えているのだけれど、今回のは世代差を感じてしまったわ。

時代小説では、「颯爽登場! 時代小説ヒーロー初見参」というのを読んだのだけど、ワクワクドキドキ、名調子の文章でどんどんページが進みました。


この本を読み始めた理由は、先日、雷蔵祭で「大菩薩峠」の映画を見たから。悪のヒーローや彼を取り巻く人物が凄く魅力的で面白かったので、原作を読んでみようと思ったのでした。でも日本一長い小説だそうで、全巻揃っていませんでした。それでこの「さわりだけ」の本を選んだのです。
この本には、大菩薩峠を初めとして、旗本退屈男、雪之丞変化、鞍馬天狗、国定忠治、丹下左膳、桃太郎侍という何となく名前は知っているヒーローたちの元の小説の初めの章だけが書かれているのです。ごく幼いころ、親から聞いたり、何となくテレビで見たことがあるようなヒーローたち。みなそれぞれ個性的です。最初の章だけでなく、続きを是非読みたいと思いました。

重厚なものでは山崎豊子さんの大河小説「不毛地帯」全5巻。


これは文句なしに面白かったですね。戦後のロシア抑留生活のこれでもか、これでもかというくらい悲惨で残酷な場面が続き、どうしようもないくらい暗いのですが、主人公が次第に商社の中で次第に出世していき、さまざまな場面で敵と戦いながら生きていくという大河小説です。
ただしテレビでは主人公を唐沢寿明が演じ、ヒロインの陶芸家を小雪が演じているというので、がっくりです。ちょっと無理があるんじゃないかな。

新書では東大の坂井克之さんという人の書いた「脳科学の真実」


これは世にはびこる似非脳科学者、タレント脳科学者などと、そうではない脳研究者の違いを書いている本です。一般の人に、「脳科学はこんなもんじゃないよ。そんなに単純なものではないよ」という警告を発していと同時に、脳科学に従事する人たちにも自己反省を求めている本だと思います。
私が仕事で接する人たちは、おもに脳神経科学という分野の人たちが多いのですが、その人たちはTVや書物で有名になった脳科学者には批判的な人が多いのですが、半分はやっかみがあるかもしれません。そういうことをきちんと冷静に分析して書いてある本だと思いました。

まったくジャンルの違う本たちですけれど、読書の時間が持てるというのは、本当に幸せ。

今読んでみたいのは、川端康成の「雪国」。なかなか図書館にも本屋さんでも見つからないの。最初の出だしがあまりに有名なんだけれど、実際はちゃんと読んだことがないのです。

それと少し読みだしているのが、谷崎潤一郎の「新々訳 源氏物語」。タイトルで分かるように谷崎潤一郎は3回、現代語訳をしているのです。すごいわね。
私も原作は無理だけれど、いつもそばに源氏物語を置いていたいのです。

2010年1月22日金曜日

天才・橋本治 「窯変 源氏物語」

長い長い物語を読み終えました。

橋本治さんの「窯変 源氏物語」全14巻です。

これまでいろいろな人の源氏物語訳を読んできましたけれど、これほど長いのはありませんでした。
1巻がほぼ500ページくらいの分厚い本です。それの14倍というと、7000ページ!

うーむ、いくら原作があるとはいえ、これほど長く訳するのは大変な作業だったと思います。

私が橋本さんの訳本を読み始めたのは、なんと、2008年の12月ごろだったようだわ。1年以上かかったわけね。

こちらの足跡を見て判明しました。


橋本さん、と気楽にお呼びしていますが、実は橋本さんは私の高校の先輩に当たる方なのです。
もちろん、あちらは私のことなど、ちーともご存知ないでしょうが、こちらはよく存じておりますよ。何せ、あの東大の文化祭のポスター「とめてくれるなおっかさん、背中のイチョウが泣いている、男東大どこへ行く」という有名なコピーでデビューした方なのですから。

橋本さんの源氏物語訳の特徴は、心理描写が非常にていねいで細やかで、そして彼の博識あふれる解説部分がふんだんに挿入されていること、それに言葉づかいが非常に美しいことです。

そして他の訳者との一番の違いは、最初の光源氏が主人公の部分が、なんと光源氏本人の言葉で語られていることです。つまり「私は・・・・」という文体なのです。
そして後半の宇治十帖は紫式部が語り手になっています。

またもう一つの特徴としては、古典文学とは関係ないような外国人の美しい男女のモノクロ写真がところどころに載っていることです。たぶんフランス人なのでしょうけれど、とても美しい男女の姿があり、それが目でも楽しませてくれるのでした。


私は橋本さんの源氏物語の本を読んで、今までつまらなくて読み飛ばしていたところにも、深い意味があるのだと分かりました。
たとえば光源氏が亡くなってその後、宇治十帖に入るまでの数巻は、これまではなんだかつなぎのような感じがしてあまり面白さを感じなかったのですが、橋本さんの訳を読んで、なるほどね、と思うことが多くありました。

ただし、はっきり言って、源氏物語初心者には、橋本さんのこの本はお勧めしません。
巻ごとに人間関係図があるので、それは参考になりますけれど、あまりに長くて、奥深くて、ついて行くのが大変な部分があり、結局、最後まで付き合えないかもしれないからです。


私が、これだけ長い本を読み上げることができたのは、通勤手段が電車になったことです。
これまでは自転車通勤だったので、読書の時間というのは寝る前のちょっとの時間くらいしかなかったのですけれど、電車の中で本が読めるので、それが一番の楽しみでした。
人間の心のひだまで深く入ったこの本は、混んだ電車の中にいても、まるでそこだけ違う世界に浸ることができるように感じられました。

橋本さんの源氏物語を読みつつ、並行して現代作家のものや、全くジャンルの違う本も何冊か読んでいましたけれど、この美しい本に勝るものはありませんでした。


前に橋本さんの「桃尻語枕草子」を読んだことがありますけれど、「窯変 源氏物語」それとはまったく違い、本当に重厚で豪華でそして難解な本でした。本当に橋本さんは天才なんだな、と思いました。

2010年1月21日木曜日

仕事か 歌舞伎か?

神戸での仕事を終えて、翌朝、新神戸発7時の新幹線に乗り、途中の品川で下車して、新橋までJR、そして都営地下鉄で東銀座まで急ぎました。

新橋演舞場の「新春花形歌舞伎」を見るためです。

新幹線の中ではスーツ姿のサラリーマンの出張姿ばかり目に付いたのに、ここでは中高年の着物のおばさまたちの姿が多いわ。
何とか信用金庫からバスを繰り出して、集団で来ているおばさまたちもいました。賑やかなこと。


最初の出し物は、曽我兄弟の話。
お兄さん役が笑也さんで、弟役が師童。こんなに似ていない兄弟なんてありえないんだけどね。

舞台が1幕だけで、あまり構成に変化がないので、それほど面白くはありませんでした。

二番目の出し物は右近さんの「黒塚」といって、老女が鬼に変身していく物語。
もともとは能の出し物だったそうで、舞台は安達が原の廃屋。ちょっと怖い感じでしたね。でも右近さんの老女というのは、ちょっと無理があるわね。あの四角い顔でおばあさんというのは、まだ早い。でも鬼の姿になったところは良かったわ。それに三味線がすごかったです。
この作品の踊りの部分はロシアのコサックダンスを取り入れたところもあるそうで、マイケルジャクソンのムーン・ウォークも真っ青なほど、右近さんの見事な足さばきでした。

最後は海老蔵さんの鏡獅子。
はじめは白塗りの可愛いお小姓役できれいだったわね。踊りの可憐なこと。それが獅子舞の獅子頭を手にしたとたん、怖い師子に変身してしまうの。


この長い髪を振り乱しながら、上半身を低くして頭をぐるんぐるんと回すのだけど、数えてみたら65回くらい回していました。うーん、疲れそう。役者というのはほんとに身体が資本なのよね。

海老蔵さんは、この後、夕方からは今度は一人10役というすごいお芝居に登場するのよ。

この人、小林なんとかさんというアナウンサーと結婚するということですけど、私だったらいくら見染められても歌舞伎役者とは結婚したくないな。大変そうだもの・・・。

ということで、神戸からそのまま歌舞伎見物をしてしまい、あわてて帰宅して仕事の続きをしたのでした。

つまり私には「仕事か歌舞伎か?」というよりも、「仕事も歌舞伎も」という欲張り状態なのです。

2010年1月20日水曜日

神戸

仕事で神戸まで出かけてきましたが、帰りには新幹線を品川で降り、新橋演舞場に直行して新春歌舞伎を見て来たので、さすがに疲れました。


でかけたところは、神戸の三宮からポートライナーというモノレールに乗って、海の中にあるポートアイランドの国際コンベンションセンターというところ。


乗りものの中から写したので、あまりはっきりしていないけれど、海はいつ見てもいいわね。


ここには会議場や展示場があるのですが、人影が少なくて、儲かっていないんじゃないのと思いましたね。

私は新幹線で行ったのだけれど、神戸空港を利用したほうが安くて足の便もいいそうです。

こちらは新神戸駅近くのホテル。


障子があってびっくり。
敷地内には教会もありちょっとおしゃれな感じだけれど、部屋は狭かったわ。寝るだけだから構わないのだけど。


そういえば、神戸の動物園にはパンダがいるそうで、パンダ好きの娘に「パンダサブレ」というのをお土産に買ってきました。

早朝の新神戸駅。


ビジネスマンがたくさん乗っていました。みんな背広を着て、ノートパソコンを広げていました。

私の心は仕事を忘れ、海老サマに向かっていました。