2016年12月16日金曜日

グアム2016 その9.歴史と文化編

グアムに行く前は、娘の結婚式のために半分は仕方なく行く、という感じでした。

旅行ガイドを見ると、どこも肉食こってり系ディナーや、超甘そうなデザート、ド派手なお土産の紹介ばかりで、私にはほとんど興味のないものばかりでした。

今回の旅行は、ホテルと飛行機がセットされた個人旅行で、そのほかにオプションが一つ無料でついてくるものでした。
スケジュール上、潜水などで遊ぶ時間も意欲もなかったので、オプションは、ごくシンプルな市内観光を選択しました。
この市内観光のおかげで、グアムの歴史と文化をごく簡単にですが、学ぶことができました。

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市内観光は、こちらの長いバスに乗って出かけました。


ガイドさんはグアムに住んでいる日本人女性。
とても早口で説明をしてくれました。

私が一番興味を引いたのは、グアムの歴史と古くからある文化でした。

グアムは紀元前から、チャロモ人という原住民が住んでいました。

恋人岬の伝説や、人魚姫の伝説もある島でした。


恋人岬の伝説:

グアムがスペイン統治下にあった時、美しい娘がいました。
父はスペイン貴族の出身、母はチャモロ族酋長の娘で、大変な名門の家柄でした。
そしてスペイン総督と結婚させられそうになりました。
彼女はそれが嫌でグアム北部の海岸に逃げて、そこでチャモロ人の男性と恋に落ちました。
それを知った父親は激怒しました。
若い二人はお互いの長い黒髪を一つに結び、高い崖から海へ身を投げたのでした。
その日以来、ここは恋人たちの聖地となり、恋人岬と呼ばれるようになったのです。


今では多くの観光客が訪れています。

二人のストーリーが描かれた壁画がありました。


このカラフルなモノは、絵馬のようなものです。
恋愛成就の願いが、これでもか、というようにいろいろな言語で書かれていました。


遠くから見ると、こんな感じ。
まるで花が咲いているように見えますね。


こちらはラッテストーン。
高さが2メートルほどの石ですが、形が面白い。
巨大遺跡です。


ただし何のために作られたのかは、いまだに謎だそうです。
かなりの高さがある不思議な石でした。


このようなチャモロ人の文化と歴史がありましたが、1521年にポルトガルの探検家マゼランがヨーロッパ人として初めてグアム島に到達しました。
その後、グアムはスペインの植民地となりました。

スペイン広場というのは、その時代に作られたものです。

その時代にできたのがこちらのティーハウス。
日本でいうとお茶室ですね。
ここでチョコレートドリンクをもてなしてパーティを開いたそうです。
復元された建物です。


この時期には大きな聖堂も建築されました。
窓がステンドグラスでとても美しい教会でした。


聖堂の中をちょっと覗いて見ました。


その後、スペインとアメリカが戦争をして、グアムはアメリカの植民地となりました。

太平洋戦争が勃発して、日本軍がグアムを制圧した時期もありました。
1941年から1944年までは日本軍が占領統治していて、「大宮島」と呼ばれていたそうです。
写真の後ろ側に広がるのは、海です。


これはレプリカですが、このような大砲で、海からやってくるアメリカ軍を倒せると思ったのでしょうか?


こちらは防空壕です。
とても狭くて、簡素なものでした。
ツアー客の中に、中学生か高校生くらいの女の子がいたのですが、「ぼうくうごうって何?」と言っていました。
「ごうくうごう」という言葉すら、忘れられた存在になる時代なのですね。


このような歴史を見ると、太平洋に浮かぶ小島の悲劇を思わないわけにはいきませんね。
植民地として生きていくより仕方なかったのかもしれません。

戦争とのかかわりというと、グアムはかつて横井庄一さんが発見された場所でした。
戦争終結後、28年間もジャングルで暮らし、戦争が終わったことを知らずにいた元日本兵です。
横井さんが発見された時は、昭和47年、「恥ずかしながら、生きながらえて帰ってきました」という第一声は非常にセンセーショナルだったことを覚えています。
ほとんどの日本人が太平洋戦争を忘れてしまった頃、まだ戦争が終わったことを知らない人がいたというのは、とても衝撃的でした。

その横井さんが発見されて、保護された場所というのも通りました。
ジャングルの中で28年も生きていたというのは、本当に信じられないことでした。

グアムは、現在ではアメリカの準州となり、アメリカ軍基地の拠点となっています。
基地は島の北部にあるので、私は観光地しか行かなかったため、米兵の集団をそれほど多くは見かけませんでしたが、かつては街中にも多くの米兵がいたという話を聞きました。

グアムと言えば、美しい海のある観光地というイメージばかりが先立ちますが、戦争の歴史とは切っても切れない場所であることを、強く感じたのでした。

昨年の暮れに沖縄に行った時も感じたのですが、海に浮かぶ小国というのは、強い国に脅かされながら、あちこちの属国のようにして生き延びていかなくてはならない、という運命があるのですね。

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娘たちの5年半後の挙式のために訪れたグアムでしたが、いろいろな発見がありました。
「百聞は一見に如かず」ですね。

(この項、ようやく終了です)

まだまだ書き足りないこともありますが、長いお付き合いありがとうございました。

グアム2016 その1.5年半後の挙式▼
グアム2016 その2.お花たち▼
グアム2016 その3.ケニアの布▼
グアム2016 その4.ちょっとした驚き▼
グアム2016 その5.食事編▼
グアム2016 その6.ライド・ザ・ダック▼
グアム2016 その7.プール編▼
グアム2016 その8.海編▼
グアム2016 その9.歴史と文化編▼



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