2017年1月24日火曜日

解説付きの能狂言

もう10日ほど前のことになりますが、お隣の市の芸術劇場が開館して25周年で、その記念として能狂言の舞台がありました。


こちらがその芸術劇場です。
とても立派な施設です。


今回の出し物は、刀に関係のある内容だったので、まず最初は「日本刀とのふれあい」という講演がありました。

始まる前の会場の様子です。


講師は水戸本阿弥14代という方でした。
本阿弥家というのは刀の鑑定をする専門のおうちだそうで、かの有名な本阿弥光悦も祖先になるそうです。

刀というのは武器ではあるが、鉄の芸術品であるという話をされました。

刀に関する言葉は普通の生活にも入り込んでいるそうです。
たとえば「つばぜり合い」、「あの人とは反りが合わない」、「焼きを入れる」いう言葉にある「つば」や「反り」や「焼き」などは、すべて刀から派生した言葉だそうです。
それだけ刀が人々の生活と密着していた時代があったのでしょうね。

また刀というのは稲荷信仰と縁が深いそうで、その後の狂言や能にも狐が関係していました。

刀のお話の後は、野村万作さんたちによる狂言「佐渡狐」でした。

(府中の森芸術劇場のHPより拝借しました)

狂言は分かりやすくて、ゲラゲラと笑ってしまう場面もありました。
ひょうひょうとした万作さんでした。
ちなみに午後の部では、同じ役は野村萬斎さんが演じていました。

その後は能の「小鍛治」。


(府中の森芸術劇場のHPより拝借しました)

実は私は長唄で「小鍛治」を習ったことがあるので、同じ曲か、と思っていましたが、まるで違っていました。
稲荷明神の役は、頭に狐の冠のような飾り物を付けていました。

舞台が終了した後は、質疑応答コーナーがありました。
答えていただいたのは、中森貫太さん▼という観世流の能楽師の方でしたが、すごく頭脳明晰な方だと思いました。

会場からいろいろな質問が出ましたが、分かりやすく説明してくれました。

たとえば「能ではいつ拍手をしたらよいか分からない」という質問に対しては、
「日本にはもともと拍手という習慣はなかった。日本で手をたたくというのは神前で柏手を打つ、という礼拝しかなかった。拍手は明治時代になってからのことである。能はかつては将軍や大名がシテを演じていたので、観るものではなく、拝見するものだったので、拍手なんてとんでもないものだった。
ただし現在、拍手をするのなら、シテ方や道具やお囃子方がすべて帰った時にするのならよい」という回答をされていました。

また舞台にある柱は、能面を付けていると足元が見えないので、それを補うための目安として柱があるのだそうです。
ただし柱があると席によっては舞台がよく見えないこともあるので、将来的には柱ではなくて、レーザー光線になる可能性もあるという面白いお話もしてくれました。

今回の公演はこのように、刀の説明と、能狂言の解説があったので、とても分かりやすくて、眠くなることはありませんでした。

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この日の装い。

(なんだかすごく老けた顔をしています。)


ちょっと格式が高い着物の方がよいかと思って、絞りの着物にしました。
といっても、奈良にあるリサイクルショップで買ったので、お値段は千円です。

帯は川島織物の白い帯です。

会場は満員でしたが、着物を着ていた方は私を含めて3人ほどしかいないのは、ちょっと残念でしたね。

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